産業廃棄物処理施設設置不許可を勝ち取る戦いを振り返る
北海道北広島市の産業廃棄物処理施設設置の反対運動と、設置不許可の決定を勝ち取るに至った経過を報告します。
北海道北広島市は札幌のベッドタウン。新千歳空港と札幌市の中間にあり、自然豊かな都市です。丘陵地帯の一角に、造園業などを営む人たちの集落「植木村」があります。周辺は原始林、牧場、農地が広がり、市内でもたいへん眺めの良い、自然環境に恵まれた地域です。沿道には幼稚園や病院があり、その先には新興住宅街が広がります。
この「植木村」に隣接したところに2004年4月、突如札幌リサイクル推進事業協同組合(以下組合と略記)が、およそ1ヘクタールの用地に産業廃棄物処理施設設置を北海道に申請し、異例の速さで許可されました。施設設置予定地の地目は山林・原野で、市街化調整区域です。区域内での建築許認可権限は市に移管されていますが、産廃施設設置から処分業開業に至る許認可権は北海道にあります。北広島市は1995年に「産廃処理施設設置規制方針」を定め、新しい産廃施設の設置を認めないこととしましたが、法律的な効力を有するものではありません。通常、産業廃棄物処理を事業として行うためには、①産業廃棄物処理施設設置申請⇒許可――②設置施設の使用前検査申請⇒許可――③産業廃棄物処分業申請⇒許可 と言う流れになります。いずれも廃棄物の処理および清掃に関する法律(以下廃掃法と略記)の規定によりますが、事業を行う場所が市街化調整区域の場合、②の段階に至るには都市計画法34条および43条、そして建築基準法51条の規定を満たさなければなりません。
2004年の申請の可否判断の際、道は廃掃法のみをとらえて許可してしまったことがそもそもの誤りでした。また、産廃処理に関わる北海道の指針にも反することでした。指針では第7条において「・・・地域の理解を得ながら諸手続きを円滑に進めなければならない。」と規定していますが、「植木村」の人たちは産廃施設設置など何も知らされておらず、突然のことにびっくり仰天。組合による地域説明会は申請許可が下された1ヵ月後の2004年5月21日に初めて行なわれました。
以下、事業申請をした組合の行動経過、地元の人たちの反対運動、許認可権者の北海道(石狩支庁)および地元の北広島市および市議会の対応について、報告します。
組合の、申請から今日までの行動
組合は、2004年3月18日に産業廃棄物処理施設設置許可を北海道石狩支庁に申請しました。コンクリートやアスファルトがれき、家屋解体等で発生する木屑、廃タイヤの処理をする、と言うものです。そして25日後の4月13日、異例の速さで廃掃法上の許可が下されました。この経過を日本共産党北広島市議団が調べると、次のようなことが判明してきました。
① 事業用地を確保し整備するために、組合理事長は申請前年の2003年9月に、組合員の自分の会社A社所有の事業予定地(山林)の一部を、無届けで伐採(森林法違反)。
② 同年12月、理事長はA社所有となっている事業予定地の一部を組合員のB社に転売。
③ 2004年2月、A社、B社はそれぞれ予定地の樹木伐採届けを提出し、樹木を伐採。
これは、事業を行うには1ヘクタール以上の山林伐採が必要でしたが、林地開発許可の手続きを逃れるために、用地を分割し、別法人として届出だけで伐採・整地を行なったものです(脱法行為)。
④ なぜ異例の速さで認可されたのか・・・申請当時の受付窓口の担当課長が、3月に北海道石狩支庁を退職し、4月に申請者である組合の事業現場所長となったことが判明。申請日に申請書の訂正、加筆を手書きで行い、あるいは行なわせ、4月から自分の監督下で事業が進むよう、認可の段取りを整えていたのではないかと思われます。この元石狩支庁環境生活課長は、部長職ではなかったため、道の天下り禁止規定の対象にはなりませんでした。
⑤ 事業予定地の所有権について、私たち市議団が調べたところ、②の、A社は所有地の一部をB社に売ったことは「錯誤」だったとして、2004年10月1日、土地登記簿を訂正しました。つまり、うそをついて違法な伐採を行なったのです。
⑥ その後、2004年から2008年にかけて理事長は事業予定地に隣接するA社の所有地に、A社名義で違法建築物を11棟も建設。また関連会社C社も5棟建設(都市計画法違反の繰返し)。
⑦ また、同地でがれきや木屑処理等を繰返し、度々廃掃法上の是正指導を受ける。
⑧ 2006年7月産廃施設使用前検査申請書を提出しましたが、建築基準法違反の行為があるとして指導され、申請を取り下げました。
⑨ 2008年5月2日、建築基準法51条の許可申請を道に提出。
⑩ 2008年5月22日、都市計画法43条の許可申請を道に提出。
地元の人たちの反対運動
地元「植木村」の人たちにとっては寝耳に水の産廃施設設置でした。自然環境が破壊され、大切な空気・土・水が汚染され、産廃物運搬車の往来で、騒音・振動、そして交通事故が多発してはたまらないと、施設設置許可が下されたと知った2004年4月から、ただちに反対運動に取り組みました。
○ 2004年9月、植木村の人たちと地元自治会、自治連合会は産廃施設設置の中止を求める陳情を北広島市議会に提出。全議員の賛成で採択されました。
○ 同年11月、地元の人たちは北海道議会に同様の陳情書を提出しましたが、継続審議の後、廃案になってしまいました。
○ その後、組合や組合所属企業の動きを監視しながら、北広島市と北海道に設置・稼働を認めないよう働きかけを続けました。
○ 2008年5月に組合が建築基準法や都市計画法上の申請を出したことに対し、危機感を強め、絶対に認められないとして反対運動を強めました。沿道沿いの目立つところに「産廃施設絶対反対!」の看板を数十枚立てました。署名運動に取り組み、6月25日には1149名の署名を添えて建築許可をしないことを求める請願を、9月8日には更に3000名を超える地元・近隣住民の署名を添えて道議会全会派の紹介議員を得て三度目の請願を提出し、環境生活委員会、建設委員会で夫々審議されています。
北海道、北広島市、議会の経過
☆ 2004年9月、北広島市議会は地元の方々から出された陳情を全議員の賛成で採択し、市が道に施設の稼働中止を求めることと、市が産業廃棄物処理施設設置規制方針を堅持することを求めました。
☆ 同年7月以降、道(石狩支庁)は度々事業予定地現場に立入りを行い、がれき等の不適正処理を是正指導するようになりました。2008年5月までのおよそ3年間で18回になりました。
☆ 2004年11月に北広島市は市の産廃施設新設規制方針に基づき、組合の産廃施設設置を認めないよう、道知事に要請。
☆ 2008年5月22日、市は再度施設設置を認めないよう、道知事に要請。
☆ 同年6月6日、北広島市議会は建築基準法51条許可を下さないことを求める意見書を全議員の賛成で採択し、道議会に提出。
☆ 同年9月2日、11日、道議会環境生活委員会は産廃施設設置反対の請願について現地調査を行ない、審議。
☆ 同年9月22日、組合に対し、北海道は都市計画法および建築基準法の申請不許可を決定。
共産党議員団の取り組み
議員団は2004年4月、植木村で造園業を営む方から相談を受け、これは大問題だ、と直ちに実態調査を開始しました。道(石狩支庁)は組合からの設置許可申請後、25日と言う異例の速さで廃棄物処理法上の設置許可を出しました。前述のように地元北広島市は新しい産業廃棄物処理施設の設置を認めない方針を堅持しています。また施設設置には廃掃法の他に、建築基準法や都市計画法の規制があります。これらを無視するようなやり方で、脱法的に申請・許可行為が進められているのはおかしいと、様々な調査を行ない、北広島市議会で取り上げ、また北海道議会でも取上げてもらいました。公文書開示請求や一部非開示不服審査請求などで、申請書と許可書、そして5年間に亘る立入り検査の詳細を開示させました。
2004年3月18日付の申請書は通常では受理されない、きわめて不備なものです。申請者の捺印なし、申請日も後からの手書き記入、設備能力も手書きで勝手に書き換え、施設面積などは2本線で勝手に削除等々。これを受理したのは北海道石狩支庁の担当課長が4月から申請者である組合の現場責任者に天下ることが決まっていたからに他なりません。4月に現場責任者として着任して事業を行いたいから、いわば自分で勝手に申請書を書いて受理したようなものです。職位が低かったから道の天下り禁止規定に抵触しないことも熟知していたのでしょう。すぐに許可が下るよう、手はずを整えた上で天下ったのだと考えられます。
申請に先立っての山林開発もおかしいと直感しました。申請書類上の事業用地面積9800㎡(後から削除)をかなり超え、1ヘクタール以上の開発が行なわれていることが現地視察で明らかでした。そこで法務局で登記簿を調べると、うその取引が行なわれていることが判明したのです。登記簿には前述のように2003年12月23日、A社は所有地の一部4885㎡をB社に転売。しかし伐採が終了した後の2004年10月1日、この転売は「錯誤」と記載されているのです。このような登記簿の処理も通用することを熟知した悪徳事業者であることを思い知らされました。市議団は議会で伐採を許可した市の責任を追及しましたが、担当部長は「当時の手続きとして間違っていなかった。」と答えるばかりでした。
日本共産党市議団は以後、今日に至るまで地元の人たちと一緒に組合や組合員企業の行動を監視しながら、反対運動を激励し、道議会、市議会で取上げてきました。事業予定地に隣接した所有地に、組合理事長は自分が社長を務める組合員A社などの名義で16棟もの違法建築をし続けていますが、是正指導無視の悪徳事業者をのさばらせてはならないと、市議会で追及し、撤去に向けた対応を行なわせています。
この運動の成果として、9月22日に申請不許可の決定が下されましたが、組合が行政不服審査請求や裁判に訴えることが予想されます。現地では気を緩めず、組合や組合所属企業が出てゆくまで、看板を撤去せず、反対運動を続けようと確認しあっています。
市議団としても、まだまだ問題がありますので、精査しながら道や市へ対応を求めてゆきたいと考えています。
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