2009年11月26日 (木)

音楽のすばらしさを実感した11月23日

 11月23日、北海道合唱団の60周年記念演奏会が札幌市民ホールで開かれました。私も特別団員の1人としてオープニングに参加し、ステージで数曲を歌うことができました。10年振りの合唱参加でしたが、何とか足を引っ張ることなく、歌うことができ、ほっとしました。北海道合唱団の演奏会はいつものことながら、感動と勇気を与えてくれます。今回も国鉄不当解雇撤回の運動を続ける全労働合唱団との競演「職場に帰る日を信じて」では会場からたくさんの手拍子が起こり、お互いに励まし、励まされました。また知的障害者施設光友園の人たちとの合唱「そんな町を」は会場の人たちとの大合唱。そして森繁久弥さんの知床旅情の原曲となった「オホーツクの舟歌」は私は初めて聞きましたが、すばらしかった。さっそくインターネットで調べたところ、倍賞千恵子さんが歌っていて、大変すばらしいものでした。

 11月23日はもう一つすばらしい音楽との出会いがありました。朝のNHKテレビの特集で、セルビア人、コソボ人の音楽家を日本に招いて合同演奏会を開いた指揮者柳澤寿男さん(37歳)の活動を追った特集番組でした。長い民族対立で憎しみやわだかまりをもつ音楽家が柳澤さんの元で日本でのコンサートに向けて練習を重ねる中で信頼・友情をはぐくみ、コンサートを大成功させたその経過を映像で見て、本当に音楽のすばらしさを実感しました。歌は平和の力、音楽には国境や対立がないことを実感できた11月23日でした。

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2009年10月17日 (土)

マニフェスト絶対主義の見直しを!

 民主党政権誕生1ヶ月、国民の支持率は60%超と報道されていますが、施策の弊害と脆弱性も次第に明らかになってきました。共産党の第9回中央委員会総会決議で指摘され、一般新聞でも指摘され始めている「マニフェスト絶対主義」。マニフェストに書かれているからと言って、金科玉条扱いし、国民の意見も聞かず強引に推し進めようとする態度に、大変な危険性を感じざるを得ません。進め方が全く民主的ではありません。八ッ場ダム問題では、今や建設目的を失いつつあることや、建設続行の場合は当初予算のおよそ2倍にもなる8000億円余が必要になることなどを明らかにしつつ、中止の場合の影響や保障問題や地域の復興支援など、地元と十分な話し合いの上で結論を出すべきだったと思います。

 民主党マニフェストは言葉が適当でないかもしれませんが、いわば玉石混淆。生活保護の母子加算復活や、後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法の廃止などは、早期に実行してもらわなければなりません。一方、子ども手当については、配偶者控除などと一体では問題です。また、定額支給よりも保育所の充実を、という声にも真剣に耳を傾けるべきです。高速道路料金の廃止は、その分道路建設費の未払い分や維持費を税金で負担することになり、排気ガスをまき散らして温暖化対策に逆行し、公共交通体系に大きな影響を及ぼすことですから、検討し直すべき施策ではないでしょうか。

 マニフェスト優先の結果、来年度予算概算要求結果は95兆円にもなり、赤字国債の大増発が予測される状況となってきました。これでは国家財政が破綻し、消費税大増税となりかねません。ここに大きな誤りがあるのではないでしょうか。選挙戦を通して民主党の財源論の薄弱さが指摘されましたが、その一方で共産党が主張してきたことの正しさが浮き彫りになってきています。すなわち、アメリカ言いなり、財界大企業本位の政策を変える必要性です。来年度概算要求で防衛省予算は4兆8千億円余ですが、アメリカ軍への思いやり予算2000億円余や、グアム移転費負担、SACO関係費も今までと同様。これらを大幅に削減するべきなのです。また大企業の法人税を30%から1990年の37.5%に戻すことや、産業再生法に基づく、労働者1人削減につき100万円もの首切り支援などを止めること、高額所得者の所得税・住民税減税をあらため、税率を50%から平成元年時の65%に戻すこと、証券取引優遇税制の延長を止めることなどをすれば、年間7兆円以上の財源が確保できるのです。赤字国債の大増発や、消費税の大増税に頼らなくて済む、こうした施策の実行が強く望まれるのではないでしょうか。

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2009年9月22日 (火)

憲法を考える-⑥

 自民党憲法草案の真の狙い

 言うまでもなく、自民党草案も鳩山試案も、改憲および創憲の真の狙いは現行憲法9条を変えることである。まず、自民党の草案から見て行きたい。

 草案第9条(の1) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第9条の2 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮者とする自衛軍を保持する。

2 自衛軍は前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

3 自衛軍は、(9条の2)第1項の規程による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に強調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

4 前2項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。

 となっている(( )は板垣が加筆)。現行憲法では第9条の1を基本とし、その目的達成のための手段として9条の2で陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。としている。

しかし、自民党草案では「9条の1」と「9条の2」とではまるで異なる。相反する。9条の2によって9条の1は全く存在意味を無くしてしまっているのではないか。

● 自衛軍は軍事力という武力行使を行う組織であり、9条の1で武力行使を放棄しながら、なぜ武力行使組織を作ることができるのか。その必要があるのか。

● 我が国の独立・平和・安全を確保するための武力行使が、戦争ではないと主張しても、相手国が宣戦布告だと主張すれば戦争になってしまう。この点でも全く矛盾する。

● 9条の2の3項で言う「国際社会の平和と安全確保・緊急事態に対する武力行使」は9条の1で言う「国際紛争解決のための武力行使」であり、明らかに相反するのではないか。

● 自衛軍を規制する法律次第で国会や国民の承認なしに、自衛軍の勝手な判断でどんどん海外での武力行使ができるようになってしまう。

● また、核兵器や大量破壊兵器の保持、使用もできるようになってしまう。

 このように、自民党憲法草案は平和主義とは名ばかりで、軍国主義そのものをめざす、世界平和に逆行するものでしかないのではないか。

 さらに草案で謳っている「軍事裁判所」の設置も重大である。

草案第76条-3 「軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。」

 戦前の大日本国憲法にも軍事裁判所の設置規程はない。草案の軍事裁判所の設置がなぜ必要なのか、草案解説では「9条の改正に伴い設置する。」と言うだけである。軍事裁判にかけられたものは、軍事機密ということで非公開・密室の裁判になることは容易に想像できる。なぜこの種の裁判所が必要になるのか、掘り下げて見れば、見えてくることがたくさんあるのではないだろうか。

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2009年9月13日 (日)

憲法問題を考えるー⑥ 脱軍事同盟に向けた世界の動き

 (1)非同盟諸国首脳会議

  軍事同盟によらない世界の平和秩序の構築を目指して、1961年に25カ国が参加して第1回首脳会議が開催された。1990年代はソ連崩壊で冷戦が終結し、この会議の存在意義も薄れたかのようにみられたが、その後の米国一国覇権主義に対峙する形での存在意義が見直され、運動が強化されている。

 2006年9月には第14回会議が開催され、118カ国、国連加盟の61%の諸国の首脳会議となった。期限を切った核兵器廃絶が強く主張され、新たな非核地帯の創設を非同盟運動の目的に掲げた。

 2009年7月にはエジプトで第15回会議が開催され、多極主義の促進と維持、非軍事による問題解決などが主要テーマとして取り上げられた。

(2)進むTAC(東南アジア友好協力条約)加入

 東南アジア友好協力条約は1976年(昭和51年)2月24日、インドネシアなど5カ国で締結された。特筆すべきことは「第2条 締約国相互関係は、次の基本的原則により行われる。a 略、b 略、c 略、d 平和的手段による不和又は紛争の解決、e 力による威圧又は力の使用の放棄」をうたい、戦争放棄の日本国憲法と共通していることである。

 TACに日本は2004年に加入し、2008年の北朝鮮に続いて2009年7月には米国も加入し、現在は26カ国、世界人口の57%が加入している。

 このように、世界の流れは軍事同盟によらない平和の構築へ向かってあるのである。

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2009年8月27日 (木)

憲法問題を考える―⑤

戦争の放棄か 安全保障か――現行憲法9条についての鳩山氏の捉えかた

鳩山氏には太平洋戦争についての反省がないのは、既述の通りである。現行憲法9条については、この条文が政治的現実と余りにも乖離しすぎ、健全なリアリズムを奪い、外国の信頼を失うもととなっていると主張している(71ページ)。そして当該条文は空想的平和主義に基づき、現行憲法の中で最も欺瞞的な条文であると断じている(79ページ)。まるで憲法を敵視するような言い分だが、欺瞞的だというならそれは憲法9条の条文ではなく、解釈改憲などで真の解釈を捻じ曲げ、骨抜きにしてきた、時の政権のことではないか。何たる逆恨みであろうか。

氏はPKO協力法ができて、憲法解釈が変更されたのは画期的だったとし、自分がイラクへの自衛隊派遣に反対したのは憲法違反だからではなく、政治判断の誤りに対してであり、イラク派兵は違憲とはならないとの考えを明らかにしている(71ページ)。

こうした解釈改憲により、自衛隊違憲論は政界では既に過去のものとなり、停戦後のPKO活動も認められるに至ったが、国連決議による多国籍軍や国連軍への参加を明確にするためにも欺瞞的な現行憲法を変えて自衛軍保持を明記する必要があると主張しているのである。

鳩山氏は「日米安保体制は、今後も日本外交の基軸であり続ける。それは紛れもなく重要な日本外交の柱である。」(76ページ)と言い切り、軍事同盟の維持強化を主張しているが、果たして妥当な、正当な見方なのであろうか。世界は決してそのように動いてはいない、

(1) 世界の情勢

ア 軍事同盟

軍事同盟とは、国家目標を達成するために、同盟国が条約に基づいて軍事上の義務を負う提携のことである。現在の軍事同盟は以下の通りとされるが、脱退したり、機能停止の状態が相次ぎ、日米安保体制の強化だけが異常になっている。

  条約名称        主な条約締結国       条約締結国数

・日米安全保障条約     米国、日本            2カ国

・東南アジア条約機構(SEATO)米英豪比等6カ国        6カ国

ベトナム戦争後解体された。

・北大西洋条約機構(NATO) 米国、ヨーロッパ諸国        28カ国

イラク戦争をめぐってフランス、ドイツ、カナダ、ベルギー等が強く反対し、分裂状態になった。

・米韓相互防衛条約     米国、韓国             2カ国

韓国内の米軍基地は大幅縮小が進んでいる(41から17へ、基地面積も3分の1へ)。

・米比相互防衛条約     米国、フィリピン           2カ国

1992年にフィリピン内の米軍基地は全面撤去されたが、その後フィリピン軍事基地を米軍が使用するようになった。

・太平洋安全保障条約(ANZUS条約)米国、オーストラリア     2カ国

ニュージーランドは解消し、機能停止状態 

・集団安全保障条約     ロシア、カザフスタン等      7カ国

・米州相互援助条約(リオ条約)米国、中南米           23カ国

メキシコが2003年脱退。南北アメリカは米国の裏庭でないとして、アメリカ離れが進み、機能停止状態になっている。

 イ 世界的に見ても異常な日米軍事同盟

   世界の軍事同盟が解消や機能停止に移行している中で、日米軍事同盟は強化され、日本側の負担が米国言いなりに強化されている。

   沖縄県のホームページには「戦後60年を経た現在も尚、国土面積のわずか0.6%に過ぎない沖縄県に、在日米軍専用施設面積の約75%に及ぶ広大な面積の米軍基地が存在しています(基地数37)。米軍基地は、県土面積の約11%を占めています。」と記載されている。

この沖縄を中心とした米軍への日本の様々な負担は「日米軍事同盟絶対」の自民・公明、そして民主党の政治姿勢で支えられている。

   平成20年度予算で見ると、現在も実質米軍の支配下にある沖縄の負担を軽減するためと称してSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意にもとづく米軍への提供経費180億円、米軍再編関係経費191億円、在日米軍駐留経費1739億円、そして思いやり予算(日米安保体制の円滑な運営のために、条約によらずに日本が自主的に支払っている経費)2083億円の合計4593億円が米軍関係費として計上されている。

日本側に負担責任のない思いやり予算は、計上され始めた1978年は62億円であったが、今はその40倍にもなり、1978年~2008年の累計では27418億円にもなっている。

このような日米関係は、世界的に見てまさに異常としか言いようがなく、実質日本がアメリカの51番目の州となっている、あるいは植民地支配されている状況であるといえるのではないか。

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2009年8月19日 (水)

憲法問題を考えるー④

 

天皇について

    自民党憲法草案の天皇についての条項は現行憲法とほとんど変らない。一方、民主党鳩山試案は大きく異なる。

    鳩山氏は、「皇室制度は政治的安定の基礎」と主張し、日本が名実ともに「立憲君主国」となるべきだと主張する。また、「最も民主的な福祉国家の多くが君主制を維持している。だから実証的に考えると、立憲君主政体のほうが優れているといえなくもない。」(新憲法試案30ページ)などと主張している。

      しかし、世界の歴史において、国民を苦難に陥れた場合、そのときの君主は失脚するか、君主制そのものが崩壊した。鳩山氏が優れた立憲君主国として掲げているスウェーデンの場合は1720年には国王の権限は制限され、議会政治の基礎が築かれたが、1772年王権強化のクーデターで絶対王政が復活した。しかし1809年再びクーデターによって国王は退位させられ、絶対王政が終結。以後200年間王政が国民から幅広い支持を得て維持されている理由は、「立憲君主制の下に政治的及び経済的民主主義が確立され、国民生活の安定がもたらされたことである」とされている(衆議院憲法調査委員会報告書)。しかし、日本においては、太平洋戦争で国民とアジアの人々を苦難に陥れた。軍部に利用されたとはいえ、あの惨禍を引き起こした責任を昭和天皇が負わなかったことは、世界の歴史を顧みても全く異常ではなかったか。鳩山氏は「私は天皇制を、日本の伝統と文化の拠り所であるとともに、政治的安定の基礎であると積極的に評価している。」のであれば、天皇の戦争責任についてまず、明確にするべきではないか。これに何ら触れることなく、確固たる天皇制、立憲君主制を目指す鳩山氏の真の考えは戦前体制に回帰することだとしか考えられない。

     また、立憲君主制のほうが優れているといえなくもない、と主張しているが、今や立憲君主国は世界190余国中39ヶ国に過ぎず、共和制に移行してきたのが世界の潮流であるなかで、名実ともの立憲君主国を目指そうというのは、歴史に逆行している。

     立憲君主国においても君主の権限は形骸化が進んでいる。たとえばスウェーデンの場合は「国王は実質的な国政上の権限を持たず、国家を代表する儀礼的な役割を果たすに過ぎない。首相の任命や大臣の認証等の形式的な権限行使すら関与を認めていない」(衆議院憲法調査委員会報告書)。

鳩山試案の天皇についての特記条項

第1章        第1条2  日本国は、国民統合の象徴である天皇を元首とする民主主義国家である。

第2章        8条3  天皇は、国会、内閣総理大臣及び最高裁判所の氏名に基づいて、憲法裁判所の裁判官を任命する。また憲法裁判所の裁判官の互選による氏名に基づいて、その長たる裁判官を任命する。

      9条(天皇の国事行為)10 国賓を接遇すること及び友好親善のため諸外国を訪問すること。

    

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2009年8月17日 (月)

憲法問題を考えるー③

自民党の憲法草案と、民主党鳩山代表の新憲法試案の中身(2)―憲法前文について

まず、現行憲法前文について、両者の評価の概要は次のようである。大日本帝国憲法への復古主義とともに、専制君主制、立憲君主制への強い憧れが感じられる。自民党よりも鳩山氏の方が一段と右翼的ではないか。

(1)現行憲法前文に対する自民党の考え

    明治憲法(大日本国憲法)、昭和憲法(現行憲法)にはそれぞれ歴史的意義がある。例えば昭和憲法の基本理念である国民主権、基本的人権、平和主義はそれぞれ継承されなければならない。

    しかし昭和憲法には日本の国土、自然、歴史、文化など、国の生成発展についての記述がなく、国民が誇りうる前文となっていない。

    わが国は天皇とともに歴史を刻んできた、多様で高度な独自文化を持つ国だとの記述が無い。従ってこれらを含む誇り高い前文とする必要がある。

(2)現行憲法前文に対する民主党鳩山代表の考え

    現行憲法前文の「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専従と隷属、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと務めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」は独立国の憲法として望ましくない。諸国民の公正さを信じて日本の生存を保持しようなどと、情けないことを言うべきではない(試案25ページ)。

    われわれは、明治憲法の欠陥とともにその成果についても正当な評価を行うべきだ(試案26ページ)。

(3)現行憲法前文

   日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、我らと我らの子孫のために、諸国民との共和による成果と、わが国全土に亘って自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。 これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令、及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専従と隷属、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと務めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と隷属から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

   われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

(4)自民党の憲法草案前文と考察

日本国民は、自らの意思と決定に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。

     象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。

     日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支える責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の進行と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。

     日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。

     日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならず、かけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。

  

  (考察)

 現行憲法前文と、自民党草案前文の違いは、読み比べてみれば明らかである。

 愛情は押し付けられるものではない。国を愛せよ、国への愛は国民の責務であると記す自民党草案は大日本帝国憲法を懐かしむ時代錯誤の案ではないか。国民一人ひとりが自分を愛し、隣人を愛することが地域へ広がり、国への愛情となって育まれていくのではないか。現在のように国民一人ひとりが大事にされないようでは、国への愛情が育つはずは無い。自民党草案は何たる本末転倒か。

 現行憲法は、国の政治は国民の厳粛な信託に基づいて国民の代表者が執行し、福利等の恩恵は国民が之を享受する・・・これは人類普遍の原理であると記している。しかるに自民党案は、国を愛し、福祉の充実を図り、国際協調等の不断の努力を国民の義務とする、として、現行憲法と全く逆である。現行憲法が、国としての国民への義務を定めているのに対し、自民党草案は国に対する国民の義務を定めているのである。

 もう一つの大きな違いは、太平洋戦争に対する反省が自民党草案には全く無いことである。現行憲法がその反省に立って制定されたのとは全く立場を異としている。

(5)鳩山試案の前文と考察 

    この憲法は、明治二十二年憲法によって創始された議会主義と政党政治の伝統を受け継ぎ、昭和二十一年憲法によって確立された国際協調と平和主義の理念をさらに発展的に継承するものである。

    私たちは、人間の尊厳を重んじ、平和と自由と民主主義の恵沢を全世界の人々と共に享受することを希求し、世界、とりわけアジア太平洋地域に恒久的で普遍的な経済社会協力及び集団的安全保障の制度が確立されることを念願し、不断の努力を続けることを誓う。

    私たちは、自立と共生の精神に基づいた友愛の国づくりを目指す。すなわち、この国の長い歴史に培われた伝統と文化を受け継ぎ、豊かな自然環境と美しい国土を守り、後世に伝えるよう努める。また、補完性の原理による秩序の下で、地域の自治と自立を最大限に尊重するとともに、地球的視野に立ち、全世界の人々と友情と智で結ばれた、尊厳ある国づくりを共に進めることを念願し、ここに新しい憲法を制定する。

 (考察)

   鳩山氏は今後の50年を見据えた新しい憲法が必要であるとし、アジア太平洋地域の集団的安全保障制度の確立が必要であると主張しているが、今、世界やアジアの動きは「非同盟中立」、「軍事同盟からの脱却」である。明治憲法への回帰を色濃く表した前文ではないか。氏はまた、「私は天皇制を、日本の伝統と文化の拠り所であるとともに、政治的安定の基礎であると積極的に評価している(32ページ)。」と述べている通り、天皇制を色濃く現した前文となっている。

   また、自民党案と同様、太平洋戦争についての反省は一言も無い。

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憲法問題を考えるー②

 

自民党の憲法草案と、民主党鳩山代表の新憲法試案の中身(1)

    自民党は党綱領で憲法改訂を定め、今度の衆議院選挙(2009年)マニフェストでもそれを選挙公約としている。平成177月に憲法草案を発表した。

    民主党鳩山代表は平成161215日に「新憲法試案」を発表した。氏は「民主主義政治の確立のために国家を構想して行くと、どうしても憲法改正が必要だ」と唱えている。

    両者とも現行憲法の果たした歴史的意義、あるいは恒久平和主義や国際協調主義が戦後日本の繁栄をもたらしたと評価している。しかし自衛軍、軍隊を持つことを禁じたことは最大の欠陥である、あるいは世界の現状に合わないとして、その改訂即ち軍隊を持つことを主張するが、ここに大きな矛盾を指摘せざるを得ない。もし日本がこの64年間、軍隊を持ち、戦争をする国であったとしたら、憲法9条がなかったとしたら、今よりもっと平和で豊かな国になっていたであろうか。世界がもっと平和であっただろうか。

    自民党は憲法草案作成において、現憲法との対比上、現憲法に条項をそろえたとの事である。

    これに対し、鳩山氏の試案では、「新しい憲法を作る=創憲の立場で、現行憲法にとらわれない構成にしたとのことである。また、地域主権の名の下の「道州制」に似た地域作りを地方自治の基本としている。このため、章立てが異なる。

   

現行憲法と自民党憲法草案、及び鳩山新憲法試案の構成・章立て比較

構成

 現行憲法

 自民党憲法草案

 鳩山新憲法試案

11103

現行憲法にそろえる

16137

前文

前文

前文

第1章 天皇(1~8条)

2章 戦争の放棄(9条)

3章 国民の権利及び義務(1040条)

4章 国会(4164条)

5章 内閣(6575条)

6章 司法(7682条)

第7章 財政(8391)

第8章 地方自治(9295)

9章 改正(96)

10章最高法規(9799)

11章補則(100103)

第1章 天皇(1~8条)

2章 安全保障(9)

3章 国民の権利及び義務(1040条)

4章 国会(4164条)

5章 内閣(6575条)

6章 司法(7682条)

第7章 財政(8391)

第8章 地方自治(9295)

9章 改正(96)

10章最高法規(9799)

第1章 総則(16条)

2章 天皇(710)

3章 国民の権利及び義務

 (1145)

4章 平和主義及び国際協調

 (4649)

5章 安全保障(5054)

6章 市、圏及び国(5563)

7章 市及び圏の組織(6470)

8章 政党(7173)

9章 国会(7495)

10章内閣(96105)

第11章         国民投票(106108)

第12章         憲法裁判所(109条~116条)

第13章         司法(117122)

第14章         財政(123133条)

第15章         改正(134136)

第16章         補則(137)

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2009年8月15日 (土)

憲法問題を考えるー①

 2007年、安倍自・公内閣の下で、「日本国憲法の改正手続に関する法律」いわゆる国民投票法が成立してしまいました。共産党や社民党は強く反対していましたが、民主党が世論を気にしながら毅然とした態度をとりきれなかったためだと感じています。

 これが2010年5月18日には発効しますから、少し油断して、自・民連立政権ができればあっという間に憲法が変えられてしまいかねません。憲法改悪は絶対に阻止しなければなりませんが、その運動が今、一番重要な時期に差し掛かっているのではないかと思います。そこで、憲法改悪にまつわるいろいろなことについて、調べ、考えてみました。

 まず国民投票法ですが、その概要は下記の通りと思います。

国民投票法の概要

 正式名称:「日本国憲法の改正手続きに関する法律(平成19518日法律第51号)」

  2007年(平成19年)518日 成立 → 2010518日以降改正発議が   

                       発効

 概要

        投票権者は18歳以上。

但し公職選挙法の選挙権年齢や、民報の成人年齢(20歳以上)などの規定について検討し、必要な法制上の措置を講じて、18歳以上のものが国政選挙で投票できるように改正するまでは、国民投票の投票権者も20歳以上とする(附則3条)。

        衆議院、参議院それぞれに憲法審査会を設置。

審査会規定は衆議院では制定

      参議院では未制定

審査会委員は衆議院も参議院も選任されていない。しかし今回の衆議院選挙後、すぐに選任される可能性が大ではないか。

        憲法改正原案は衆議院100名以上、参議院50名以上の議員の賛成で国会に提出できる。

        国会発議後、60180日以内に国民投票を行う。

        投票総数(賛成・反対の合計。白票等の無効票は除く。)の過半数の賛成で憲法改正案は成立。

        最低投票率制度は設けない。例えば投票率20%でもその過半数の賛成で、すなわち、18歳以上の国民のわずか10%の賛成でも憲法がかえられてしまう。

        公務員や教育者の、地位を利用した投票運動を禁止(103条)。罰則は設けないが公務員法上の懲戒処分の対象になる。学校でも憲法改定案の問題点など指摘できない。学者の発言が封じられてしまう。

        テレビラジオなどのコマーシャルは投票日2週間前から禁止。但し罰則は設けない。→ 資金力のある勢力ほど優位。

このような国民投票法を発効させない運動が非常に大事ではないでしょうか。

 

 これから、何回かに分けて、改憲派の憲法草案を分析してゆきます。

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2009年8月11日 (火)

きたひろしま民報西部版8月号外ができました。

 きたひろしま民報西部版8月号外ができました。8_2

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